書籍流通
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超五月雨式 岡山のプロジェクト 第2弾企画

第2弾は第1弾プロジェクトとは全く毛色の違うものを。

先日たまたまですが、事務所で必要なものを買いにホームセンターを訪れました。
そこで目にしたものは、なんとホームセンターのレジ横に特設棚が3つ並べられ、な、なんと書籍(古本ではない)が値引き販売されているではありませんか。
実は、書籍や雑誌というのは値引き販売できない流通上のルールがあるわけで、これを再販売価格維持制度と言います。

この制度の適用があるのは書籍や雑誌だけではないのですが、書籍と雑誌については取次店という卸業者によりとても強い力で統制されており、販売業務委託契約と売れ残り買取り保証付販売契約(業界ではこのことをフリー入帳と言ったりします)による販売形態となっています。書店は、売れ残りの買取り条件に組み込まれている再販売価格維持契約により、書籍・雑誌を定価で販売しなければならないのですが、売れ残りの買取り保証により、一定期間が過ぎても商品が販売できなかった場合、商品を取次に返品することができるため、在庫リスクが軽減されます。そのため需要の多くない専門書等でも店頭に並べることができ、日本は世界でも類をみない小部数で多様な書籍が刊行される出版大国となっているのです。

皆さんもご存知の通り、本屋さんでは書籍は定価でしか買えないと思いますが、これは上記の制度によるものなのです。

しかしながら最近ではamazonなどネット書店の台頭によってその流れも崩れつつあり、一部地域の大型書店などでは期間限定で値引き販売するイベントなども開かれていたりしますが…。

さて、お勉強はここまで

プロジェクトというのは、再販制度の影響を受けない形の出版社と小売店(書店やコンビニだけではなく、カフェやアパレル販売店、眼鏡店、ドラッグストア、ホームセンター、美容室なども含む)との書籍の直接取引を橋渡しするネット上のBtoBマーケットを作ってしまってはどうか?というプロジェクトなのです。
題して『本の直接仕入市場をつくるプロジェクト』。

再販制度の問題点を一気に解決してしまおうというWEBシステム構築プロジェクトです。

では、問題点は何?
ということで

1)販売業務委託契約ですが、実際のところ取次店がどの本を何冊どこの書店に配本するか決めているため、売れ筋商品は取引実績の高い大規模書店を中心に配本が行われ、小規模書店には入荷しないことも少なくないことです。そもそも日本全国津々浦々、同じ価格で書籍を購入できるようにするための制度のはずですが、田舎の町の小さな書店にはみんなが読みたいベストセラーの入荷に実質的な制限がかかっているのでは全く本末転倒の制度です。

2)出版不況が言われる中、実は返本条件付きの契約ですと書店は不良在庫を抱えてしまうリスクがないため、安易な返本に頼りがちになります。売り逃がしがないように大量に発注しておけば、もし売れなくても返本すればいいというような考えに陥るということです。この影響で業界全体の返本率は年々上昇し、そのコストが社会的な負担となって顕在化し出版社を苦しめることにもつながるのです。

3)新たに出版社や書店を営みたいと思った場合も、取次店との契約がなければ書籍を配本したり仕入れたりできないので、取次店との契約を余儀なくされるのですが、その際の保証料は小規模出版社や小規模書店にはかなりの重荷になるほどの額です。仮に私ども岡山研究所のように出版社と書店を同時に営みたいとなれば数百万の保証金を準備しなければならないのです。
数百万と言っても範囲が広いのでよくわからないでしょうけれど、おそらく皆さんがイメージされる数百万よりもきっと高額の数百万です。

4)出版社が実売部数を確定し売上を計上するには販売委託期間の設定により超ロングサイトになったりします。つまり6ヶ月間販売委託するとその間書籍は取次店と書店の倉庫を行ったり来たり。配本と返本が繰り返され7ヶ月目にその差し引き部数で実売数が決まり、その時点で初めて売上が計上できるのです。しかし必ずしも売上を回収できるとは限りません。次なる新刊書籍を発行しなければ売上代金は取次店に人質としてプールされたりするのです。しかしその仕組みが悪用?されるケースもあり、一部の大手出版社のみ優遇され、新刊書籍を発行すれば玉突き方式で数ヶ月前に刊行した書籍の売上が回収できるような不公平な仕組みも存在するのです。取引の大小を問わずやはり平等な条件で取引せねばなりません。

これらの書籍流通の問題点を一気に解決できるWEB上の書籍仕入マーケットを作ろうという話です。

このWEBシステムにご興味をお持ちの場合は株式会社岡山研究所までご連絡ください。
詳細な企画案や資料などをご提供できるかもしれません。

岡山のできたての小出版社が書籍流通業界に楔を打ち込み革命を起こせるとすれば、なおのこと急ぎ取り掛からなければならないプロジェクトです。

投稿者プロフィール

高橋 照一
新聞記者、書籍編集者、大学教授、WEB制作、マーケティング、経営戦略などを経て、岡山地域の創生やブランド価値向上のため岡山から世界に向けた情報発信を行いながら地域の活性化や岡山への移住促進のため岡山研究所を立ち上げた。

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